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  2019年 1月号  「亥年の今年も平和でありますように」 

「アトリエ・ゆう」と「ゆうの樹」を

どうぞよろしくお願いします。

 

「いつもと変わらない」ということがどんなに大切なことなのかを考えることが多い中、
今年の元旦も近くの神社にお参りしてから、初日の出を拝むことが出来ました。

厚着をして出たのに震えながら初日の出を待っていたら、近くの農家さんが軒下に
置いてある桶の中から、白菜漬けを出して来て、そのかじかんだ手で蝋梅も切って
くださり「まだつぼみが固いけど、これも持っていきな!」・・・・・と。

何度も何度もお礼を言っていただきましたが、本当に嬉しい、有難い新年が幕を開け
ました。
皆様におかれましては、どんな新年をお迎えになりましたか?

教育研究者の大田 堯先生が20181223日お亡くなりになりました。

「100歳の遺言」~いのちから教育を考える~の本を100歳の誕生日(322日)に
書き終えて発行されました。

生命科学研究者の中村桂子さんとの対談をまとめられたもので、深い内容が分かり
やすい言葉で表現されています。私は先生宅で「人が育つことサークル」が月2回行わ
れていて出席させていただきました。その時にお聞きしたことが書かれていて、顔の
表情までが思い出され、本当に有難いことだったと、改めて心から感謝の気持ちが込
み上げてきます。先生に最後にお目にかかったのは、2018119日、「100歳の
遺言」の読み合わせで集まった日でした。その時に言われたことが忘れられませんし、
忘れてはならないと思います。「何としても今の体制を変えないといけない、そのやり
方も私は争いが嫌いなので暴力でなく、話し合いで、まさに皆さんがしているサークル
の中から、そのことをお願したい、・・・」と。

元アトリエ・ゆうの代表の島田由美子さんと「大田先生のことを思うと70歳、80歳で
疲れたなんて言えないわね!」とよく話したものです。

 アトリエ・ゆうを始めて間もなくのころ、学習会に大田先生をお呼びして講演をして
頂いたことがありました。その時の言葉がいつも思い出されます。「皆さんがされてい
ることは、藪の中を一人歩き、二人三人歩きしていきながら、振り返ると後に道が出来
ているというような、そんな大事なことをされているのですよ・・・・・。」と。このことをいつ
か先生に言ったことがありましたが、その時は「そんなことを言ったかね?」と笑顔で
おっしゃっていました。

そして、2016127日多くの方々の協力で「教育機会確保法」が成立(施行
20172月)
しましたが、その大田先生の言葉はアトリエ・ゆうだけでなく、多くの
不登校の子どもたち、親御さん、支援する人たちへのメッセージだったと思えるのです。

アトリエ・ゆうも多くの皆さんのご協力で32年目の活動が始まりました。昨年は大宮
区の社会福祉協議会のお声がけで活動資金になるバザーにロータリークラブの皆さん
が提供品を協力して下さり、さらに支援金も頂きました。

また、さいたま市社会福祉協議会で年4回発行している情報誌「ぽけっと」の
夏号に
アトリエ・ゆうが写真入りで紹介され、沢山の方々が見て下さって反響の大きさ
にびっくりしました。問い合わせも数件ありましたが、地域の民生委員さんにも社協から
ご連絡していただきました。少しでも地域の中での活動が広まり、連携することの意義
を感じてはいても私たちだけではなかなかできなかったことを今回は社協のお声がけ
で実現でき本当に有難かったです。

居場所を続けるためには場所代がかかります。会員の皆さんの会費、支援会費を
基に、年2回のバザー、荒井農園さんの干し柿や梅エキスの販売、トレテスさんのこん
にゃくの販売、指扇の鈴木澄子さんのバザー品の提供、その他個人のカンパを頂いた
りして維持しているのが現状です。

公的な施設として、昨年4月、JR与野駅東口から徒歩7分、浦和区上木崎(上木崎
中学校の跡地)に
「さいたま市子ども家庭総合センター あいぱれっと」がオー
プン
しました。地域の子育て機能を総合的に支援する施設として建てられたものです。

1階にはなんでも子ども相談窓口、なんでも若者相談窓口、中高生スペース、バンド
スタジオ、ダンススタジオ、多目的ホールなどがあります。上階には、児童相談所、ここ
ろの健康センター、総合教育相談所、男女共同参画相談室などの施設があります。10
月にスタッフで見学しました。このような施設ができたことは大変ありがたいことです
が、
利用する立場からの目線をしっかり持って対応がされないと、総合になったが故に行き
づらくなるのではないかという懸念もありました。

アトリエ・ゆうの活動としては人数が少なくなりましたが、通ってくる仲間たちが自分を
出せる居場所として、お互いを認め合っているから続いているのだと思うのです。仕事
帰りに寄る人もいます。

NPO法人ゆうの樹は精神に障害がある方が通所していますが、アトリエ・ゆうはその
枠はなく、いつでもだれでもが集える場所として細々と続けています。遠くから電話を
してくる方もあります。

現在のアトリエ・ゆうは小・中学生はいない状況が続き、社協の「ぽけっと」を見ての
問い合わせは4~5件ありましたが、実際に来ている子どもがいないということで、その
ままになってしまった現実がありました。高校生の親御さんが相談に見えることはあり
ます。ゆうに来る仲間の年齢が高くなっているということですね。

昨年12月、日本財団の調べで「不登校傾向33万人」の新聞記事が目に留まり
ました。文科省の調べの不登校人数は14万1000人。これはどういうことかと思いな
がら、不登校新聞を見ると奥地圭子さんが書かれている記事がありました。文科省は
年間30日以上欠席の不登校の小・中学生の数。日本財団は不登校が30日未満だが、
授業に出ず、保健室登校などの不登校傾向の中学生の数が33万人と推定される、
とのこと。

この現実を踏まえて、(昨年の金沢での大会は不参加でしたが)今年夏の第30回
記念の
全国大会、824日、25日 早稲田大学での開催には参加して、今私たち
に出来ることをしていきたいと思っています。
 今年も変わらないお付き合いをよろしくお願いします。       (本居 麗子)


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